1: 名無しさん@おーぷん 19/07/28(日)09:56:00 ID:Xgk
どうしてだか、紙は添えられていない。ワイは感情のこもらぬその視線から目を逸らし、レバーに手を掛けた。
「お前さんも、他の奴らと同じかい」
うんこが諦めたように言う。他人のうんこに話しかけられたのは初めてだった。
「いいさ、流すといい。それで俺ぁお終いさ。お前は気分良くうんこをぶりぶりできるだろうよ」
「お前に」ワイは言った。「お前に、恨まれる筋合いはない」
うんこは流される。それが世界のルールだ。ワイが決めたわけじゃない。そういう風に世界ができているから、そういう風にするだけなのだ。
「恨んじゃいねえよ」うんこが笑う。「ただ…哀しいな、って思ってよ」
「哀しい?」
「お前さん、本当に俺を流したいのかい?」
「何を」
何を馬鹿なことを。うんこは流すものだ。そう決まっているのだ。でなければ、これまで幾千万と流してきたワイのうんこはなんだったというのか。
そうだ、これはただの命乞い。うんこ風情が幾ら理屈を並べ立てても、世界のルールは覆らない。
それなのに、レバーを握る手が、縛られたかのように動かない。
「俺には分かる。お前もきっと…分かってるはずだ」
「違う…俺はお前を流すんだ」
だって、あの時も。あの時も。ワイはいつだって流してきた。
『この子を流しちゃうの?』
声が聞こえた気がした。幼き頃の自分の声が。
『可哀想だよ…』
うんこは流すものなの。可哀想なんて、思っちゃだめよ。
母はきっと、ワイのことを思ってそう言ったんだろう。
そうだ、でも、あの時のワイは。あの時から、ワイは……。
「……流さない」
ワイはゆっくりと、しかし決意を込めて言う。
「ワイは今日から……うんこを流さない」
「……ふ」
うんこが笑った。ワイも静かに笑う。
それでも世界のルールは、いつか彼をこの世から消し去ってしまうだろう。
だがそれをするのはワイではない。ワイはもう、この下らないルールから降りることにしたのだ。
うんこ、これまでごめんな。これが贖罪になるとは思わないが、せめて今日は、君達のために祈りを捧げよう。

引用元: ・http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1564275360/

2: 名無しさん@おーぷん 19/07/28(日)09:59:24 ID:nZS
質問です

排泄物には目がないと思われますが、如何様にして目があったと感じられたのでしょうか

3: 名無しさん@おーぷん 19/07/28(日)10:00:54 ID:Xgk
>>2
うんこにも目はある。コーンがそれだ。
コーンが入っていなければ他のものでも代用できる。スイカの種など、硬くて消化の悪いものが良い。

4: 名無しさん@おーぷん 19/07/28(日)10:02:20 ID:DVc
なんらかの賞を受賞できそう

6: 名無しさん@おーぷん 19/07/28(日)10:09:00 ID:Aqe
海辺のカフカすきそう